グラダナからグアディの地中住居へ

グラダナ(Granada)からグアディ(Guadix)の地中住居へ
グアディのクエバスへ出発する朝、長沢さんが「皆一緒に私の車で行くことにすれば」と言ってくれたが、奥さんも一緒だと定員5名のサニーに6人は無理があると思い私とK君はバスでグアディへ行くことにした。そして皆の出発準備が整う前にバス停まで長沢さんに車で送ってもらった。 日本で調べてきた「大学庭園横のAutediaバスターミナル」まで送って欲しいとお願いしたが、長沢さんは、そこではなく中央バスステイションのT.ALSINA GRALLS,SUR.S.Aからバスは出ると言って中央バスステイションへ向かった。到着して、バス会社の窓口で長沢さんが確認したら、ここではないと。係の人に道を聞き、そちらへ向かうが途中道が分からなくなってしまい予想外に時間をとってしまった。結局は日本で調べてきた「大学横のバス停」から目指すバスは出ること分かり、そこでバスの発車時間と乗車バス名を確認してくれた後、自宅のクエバスへ戻って行った。
バスの発車まで時間があったので地図を頼りに、グラナダ駅まで歩き、記念写真を撮り、そして駅前をぶらぶらして時間をつぶし、最後に果物店でオレンジらしきものも買い込んだ。Autedia S.Aより1115分発のGRADANAALQUIFEの標識のついたバスがGuadixグアディへ行くことを確認して乗り込んだ、バスは予想していたより新しく大型であった。この種のバスに乗車する呼吸はチュニジア旅行で体験して身に付いているので不安はなかった。このバスの終着駅ALQIFEの1つ手前のバス停がGuadixである。
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   RENFE(鉄道)グラダナ駅       RADANAALQUIFEのバス   バス車窓からのグラダナ遠望
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山肌が脆そうな岩山の間を進む  遠くの地中住居らしき建物      白壁が目立つ地中住居
1122分バスは出発した。後部座席からグラナダの町並みに見とれていたら、しばらくしてグラナダの町を見下ろすような峠にさしかかっていた。車窓を流れる風景は少しずつ変わり1152分頃には、両側が脆そうな石灰岩のような岩山になっている小山の間の道を走っている、山裾には杉の樹木が見え、道路際の土は鉄分が多く含まれているような茶色である。1210分頃、山肌が脆そうな花崗岩のような感じにも見え始める、一帯が荒涼たる気配はするが、時折緑があちこちに現れ、チュニジアとは趣を異にする風景が続く。やっと家らしきものが現れ始めたと思って見ていると、あー!地下住居、スペイン独特の形をしたクエバスが道端の家々の間から遠くに見える、胸が高まる。この辺りの町は、地図で見たプリューナだろうか、行きかう車も多くなる。やがて、教会らしい大きな建物が見えたと思ったらバスは停車した。きっとグアディだと思い、運転手に確認して下車し、バスの横下にある荷物入れからバックパックを取り出しながら、運転手に鉄道駅への道を「Quiero ir a Estation de Renfe ?」と尋ねると運転手「歩いてか・・」と足を触って言うので、「ウイ・・」と答えると、指で方向を示しながら早口で喋った、何を言ったのか理解不能であったが、一応お礼を言った、1240分頃である。
スペイン鉄道(RENFE)のグアディ駅で長沢さんの車で来る皆と合流することになっているのでと思い、周辺を見渡すが何も見当たらない。バスの運転手が指さした方向へ歩き出すと、道が何本も交差している所に来て困ったが、そこは山勘で道を選び進む、歩道を向こうからやって来た中年の男性に再び聞く、進む方向は間違っていないことを確認して歩き出す。舗装はしてあるが埃っぽい道を更に約20分歩くと両側に連なっていた建物が疎らになった。しばらく行って、ガソリンスタンドで道を聞く、指さす方向は、向かっている方向で間違いなし、ホットする。夢中で歩いていたのだろうか、気がつくと汗をかいている、暑さも感じる、道端でリックを下ろし、服や長袖のスキー用シャツも脱ぎ、一息入れる。透きとおる青空、直射日光の強さ、オーストラリア・クーバーペティを旅した冬を思い出した。再び歩きはじめるが少し不安になり反対側の歩道を歩いてやって来る親子ずれに尋ねると「この道を真っすぐ行くと鉄道の線路があるので、それを横断して最初の道を左に折れて行けば良い」と教えてくれた。話すことが良く理解できたね?そうだ英語で説明してくれたのだ、私が少し齧っただけのスペイン語で尋ねたのに、何と心優しい人よ、嬉しくなった。RENFE鉄道の線路を横断して左折すると、手前の丘にスペイン地下住居クエバス独特の洞窟の煙突が見えた、会いたかったクエバスが直ぐ近くにある!胸が躍る、通りすがりの少年にまた尋ねると、そこだとジェスチャー1320分グアディの駅にやっと到着した。人一人いない駅の改札を通りプラットホームに出て、そこのトイレで用を足した。そして駅前の小さな広場の段に腰を下ろして日差しを浴びながら、車で来ることになっている長沢さん一行を待った。
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グアディ(GUADIX)駅ホームのWC   禿山の地中住居(洞窟住居)  英国女性ターニャさんの地中住居
道に迷ったのか、何か途中で事故でも起こしたのかと不安が過ぎる。1350分頃に見慣れたサニーが目の前に現れホッとする。Iさん、Hさんは乗っていたがバーバラさんは仕事が入り来ることができなかったとのこと、自動車に6人は無理だと思い、気を遣ったのに。途中道に迷って時間がかかってしまったと言い訳していた。
早速、長沢さんは駅前の公衆電話に向かい、GUADIXの洞窟で生活している英国女性ターニャさんに電話し、この近くのバルで落ち合うことになった。少し移動して、待ち合わせ場所のバルを捜した、看板は見つけたがそれらしき店はないので、うろうろしていたら砂塵をまきあげて、一台の車が駅前広場に止まり、女性がにこやかな顔で降りて来た、きっとターニャさんでしょう。長沢さんと挨拶を交わした後、我々も一緒に駅のプラットホームにあるCaffeに入りコーヒーを飲みながら、二人は久しぶりであった様子で話が弾む、その脇で我々は、ボケーとしていた。
やがて、ターニャさんの車を先導に、長沢さんも初めての訪問だというターニャさんの洞窟へ向かう。ふと2人はどのような関係なのか、と思ったが、どうでも良いことなので止めた。鉄道の線路に沿って砂埃を上げながらしばらく進み、踏切らしき所で線路を横断し、再び線路に沿ってでこぼこ道を進むと目前に、西部劇の世界を連想させるような小高い禿山が幾つか見え始めた。スペイン地下住居クエバスの特徴である白い煙突は見えないかと目を凝らす、しばらくして、禿山がにょきにょきと見える場所で車は止まった。車から下りると、これが地中住居(洞窟住居)?と思えるほどの住まいが眼前に現れた。スペインの明るい直射日光を正面に浴びて、白くきらきらと輝いている、茶色の砂岩と真っ白いフォサードのコントラストが鮮やかで金持ちの別荘かと思えるほどである。
坂道を登ってターニャさんの家へ向かう、生け垣のある広い前庭もある。門の前で、車にスキー道具を積み込んでいる主人に紹介される、友人とシェラネバダ山へスキーに出掛けるところだと言って、我々の到着とは関係なしに、支度が整うと出掛けてしまった。
ターニャさんの許可を得て、家の中を見せてもらい、間取りの調査に取り掛かる。前以て、長沢さんから言われ用意しておいた3000ペセタをターニャさんに長沢氏が手渡した。この地中住居の内部は明るくて広く、豪華な感じさえする。立派な家具調度品、電気製品の整った台所、主燃料はプロパンガスだとのこと。2人のお子さんが恥ずかしそうに顔を出し、遠くからチラチラ様子を見ていたが直ぐに慣れて、調査測定に興味を示し、ちょっかいを出してきた。2人は、途中でターニャさんが作ったパエージャの昼食を玄関広間で食べさせてもらっていた。
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     ターニャさん宅の玄関前                  食 堂                     寝室 
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        明るい台所                    2階書斎へは外階段で        間もなく完成する書斎
最高最低温度計を入り口玄関広間の棚の上、その奥のホームバーと思われる奥の棚、右奥の夫婦寝室、それに2階の書斎(一年がかりで、主人が掘って作り始め未完成)の本棚に設置させてもらった。外気の測定器は、犬や猫に蹴飛ばされないようにブロックで保護して、生け垣の下に自記温湿度計とともに設置した。この洞窟住居は、5060年前に作られたもので、6年前に買い取り、改修をした。現在2階部分を1年がかりで掘って、技術学校の教員(スペインでは先生になるのは大変で、大学を出て何年も挑戦してやっとなれと言っていた。)である主人の書斎を作っているのだと、見せてもらったが、本棚が作られパソコンも置いてあった。2階への外階段から眺めると、あちこちに崩れた洞窟の跡が見える。この一帯も昔は多くの貧民がフランコ政治を逃れて、洞窟で生活していたという。今は外国人(ドイツ人?)が住んでいるという隣の住居もターニャさんの地中住居に負けず劣らず立派に見える。
午後2時から4時までに間取りを中心とした測定調査と温湿度計の設置を終えて、明日午後4時頃再び来ることを約束してターニャさんのクエバス住居を後にした。
来た時と同じ道をグアディの町まで戻り、道路沿いの食堂で午後420分頃から40分かけて定食、マカロニ、卵焼き、コーヒー、パンそしてビールより高い?ミネラル水を注文し、遅い昼食を食べた。5人で3250PST払ったが、お腹が空いていたのかとても美味しかった。この車でグラナダへ皆で一緒に帰るよう促す長沢さんの誘いを断って、ホテルを探し、グラナダへ向かう主要道路沿いの町外れで、壁にカマスと書いてある3階建の店を見つけて車を下りた。1階は飲食店で23階が宿泊室となっている、長沢さんが交渉してくれて、宿泊室を見る、隣にあるトイレとバスは共同だが、1室900PSTと安いのでここに決めて、長沢さんと別れた。有難いことに長沢さんは明日10時頃に再びここに来てくれると言って、グラナダへ帰って行った。
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      グアディ町外れのホテル前          宿泊した室