崖寄り添い住居セテニール1

SETENIL(セテニール)
ロンダRONDAの北18Kmのところにある白い村。村まで少し歩くが鉄道駅がある。村の中心の高台にある教会から白い家の連なりが至近距離で見える。しかし、この村で見落としてはならないもの、それは洞穴住居だ。道路に沿って、防空壕のように、横穴をうがち、地表に煙突をのぞかせた家が続く。入れてもらってみると、意外に広く、清潔でヒヤリと涼しい。ここから15Km北上したところにあるOLVERA(オルベラ)も、山上の城と教会を中心に広がったきれいな白い村だ。
グラダナ駅から列車でセテニール駅へ向かう
ホームに列車が入って来た。乗る列車を間違えるといけないので時刻表で再度確認する、と言うのはグラダナからはセビリア方面とアルヘシラス方面へ向かう列車が出ており、途中の駅(駅名忘れた)で別々の方面に別れるからである。駅員で列車係と思われる人に近づき「エステトレン バ ア ロンダ? 」とやや大きめの声で話しかけた、彼が「ウイ・・・」と言って肯いた。間違えない、3人に合図して列車に乗り込んだ。
我々は一等席(日本のグリーン座席)乗車が可能なユーレイルパスを持っていたのですが、この列車は全席二等の自由席のようです。窓からプラットホームをみると、駅前で見かけた日本人女性二人がまだうろうろしていたので声をかけようかなと思っていたら、乗車列車が分かったらしく乗り込んで来た。彼女たちは大きな立派な旅行用スーツケースを持っており、身なりも我々とは少し違うので、普通のリッチな観光旅行のようでした。列車が動き出したので座席につくと別の若い日本人カップルが斜め前に座っていた。服装から、我々と同じか少し上の旅行をしているようで、親しみを覚えた。話しかけると途中Bobadillaの駅で降り乗り換えてセベリアへ向かうと言った。二人はフランスパンを切り、ハムを挟んで食べながら「いいですよ、このような旅は・・・・」と嬉しそうに笑った。私もグラナダの駅で買い込んだパン(ハムはなし)とジュースを同じように口にしながら談笑した。しばらくすると、パンや飲み物などを乗せたカートをひいた少し太めの女性が通路をやって来た、そうか車内販売もあったのだ。
対面式の4人掛け座席スペースを一人で占領して両足を前席に投げ出し、ゆったりと移り行く珍しい車窓の景色を楽しむ・・・いいですね旅は、パリからの列車線路の地図を頭に描きながら、でも随分遠くへ来ましたね。  
斜め前に座っていたカップルが軽く挨拶してBobadillaの駅で乗り換えのため降りていっイメージ 2た。しばらく停車していた列車が動き出した、車窓に流れる景色をぼんやり、ゆったりと眺めながら何処かに何と似ている、以前見たような・・・チュニジアでしたかね・・・雰囲気がよく似ている風景です・・・一面に植林されたと思われるオリーブの木、木・・でも周囲の緑が随分多い、チュニジアでは茶色い風景という印象が残っている。
車窓から見えるオリーブの木     うとうとと眠ってしまったようだ、列車が随分登っている様子イメージ 3に気がついた。登り切ったのであろうか少し平坦な線路を進
やって来ましたセテニール
    
んだ。しばらくして、見るからに寂びれていると感じる駅に停車した。ホームの掲示板にAtalayaとある。早速、時刻表で確認すると、次駅がセテニールであることが分かった。走り出した列車が間もなくして、ホームに止まった。不安と期待と
嬉しさとの中、心の中で「来たぞ!」と叫ぶ。私達のほかに数人が下車しただけで、乗る人はいない。ホームに降りて、重いリックを背負い、入り去っていく列車を見送った。何なんだこの駅は、駅舎のほかには何もない、本当に何もない、それでも記念にとセテニールの駅名の看板を入れて写真を撮った。一人 だけいる駅員兼駅長さんが不思議そうに、用心深く我々を見ているのみ気がついた。この駅で降りた人達は迎えに来ていた自動車でそれぞれ走り去って行ってしまった。
セテニール駅から町へ向かいホテルを探す
右も左も分からないから、駅舎を覗きこんで駅員兼駅長さんに尋ねてみた「ドンデエスタ クエバ? 」キョトンとしていた駅長さん、ワンテンポあってから、それスペイン語ね、という顔をして、何か言って、行く方向を指で示してくれた。彼が何と言ったのかハッキリと理解できなかったが、私の拙いスペイン語が通じたことを信じて、示された道を歩き出す。でも不安は拭いきれない。道の真ん中に立つと、線路と直角に交わる幅約6~8mの道が真っすぐ伸びており、両側は畑と荒れた草地だけ、その外のものは何も見えない。16時過ぎだというのに太陽は結構高く日射は強い、途中砂埃をあげながらやって来た1台の自動車とすれ違った、自動車が来るというのはこの先に町が在るからのだと言い聞かせながら、期待を込めて考えながら歩いた。駅から西へ25分程歩くと、逆光の中、遠くの山に抱かれた白い村が目に入ってきた。ポケットからデジタル温湿度計を取り出す22℃、32%時刻は16:50、真冬でもさすがここは南スペイン、暑いので途中シャツを脱いで、汗を拭いイメージ 4た。でも、あの白く見える村まで歩き、何とか今夜の
この先に町があることを信じて黙々
と歩く
寝る場所を確保しなくてはと、口数が少なくなり黙々と歩いた。
  途中で広い農地の真ん中にぽつんと家が見えた。道の両側はオリーブの木だと思っていたが、ナツメヤ
シとも違うし、少し何だか違う、近付 いて実をしげしげと見ると大きなドングリである、食用か、あるいは、失礼して一つポケットに入れる。ゆっくりと左にカーブして坂道を下る。やっと村の入り口らしきところにたどり着いた、駅から約1時間30分歩いたことになる。CAPS?の看板が掛っているガソリンスタンドを右に見て、歩いて来た道とT字に交差している道を左折して村の中心へ向かうであろうと期待して、緩い坂道を下って行く。疲れていたが、今までの経験で村の中心部にホテルはあると期待して進む。左側に道に沿って川が流れているのに気がついた。
橋がかかっており、ロンダ10Kmと左に矢印。そのまま坂道を真っすぐ下る、途中道が二つに別れているところで、どちらに行くべきか迷っていると、若い女性が数人向こうからやって来た「ドンデ エスタ オテル」と尋ねると、何か言って、逆方向を指さし笑っている。そこで、重ねた両手を顔の横にやり、顔を傾けて寝るスタイルをした、ジェスチャーですよ。すると、彼女が、今来た道を戻れとのジェスチャーをした後、大きな声を出して笑っているので、からかわれているか、と思ったが。不安になり、別の女性グループに「ドンデ エスタ セントロ?」と聞くと、そのまま進めと言う。どちらを取るべきか迷ったが、ホテルは町の中心部にあると思っているから、そのまま町の中心部へ向かった。しばらく歩いて、再び中年の婦人に会ったので、ホテルの場所を聞くと「町に行ってもホテルはない」と言っているようだ。そして、今来た道を戻るよう逆方向を指さす。
手帳に記録しておいたホテルの名前Pension Almendralを見せると、肯いて自信をもって、逆方向を指さす。やれやれ、今来た坂道を仕方なく戻る。来たときは坂道を下って来たので今度は上りである、疲れも重なって足が重い、先ほど通った村の入り口にあった橋の近くで、すれ違った若者に聞くと、橋を渡った高台に瀟洒な一見してペンション風の建物が立っていた。近付くとHOSTAL, RESTAURANTE-BAR-PISCINA El Almendralの看板が道路からよく見えるところにかかっている、村に入るときになぜ気がつかなかったのだろうか、建物への階段を上って行くと、若者達が元気よくバスケットをやっている、オスタルの前には広いグランドがあった。入り口から中へ入って行ったが、受付には誰もいなかったので、更に奥へ入って行き、バーのカンター内にいたマスター?従業員風の男に空部屋はないかと尋ねた。ここでもインスタント勉強が役に立った「Tiene una havitacion,livre? doble,dos」 と指を2本立てて見せた、彼が「・・・」と何か言ったが、構わず「con ducha?」と一方的にたたみ掛けると、何とスペイン語ここでも通じたようです。何か帳面を調べていたが、うなずく、しめた、後は得意の「Cuanto cuesta?」と壁に貼ってある宿泊値段一覧表を見て指さし、これかと聞くと「ウイ」、13000pstです。早速、宿泊カードに必要事項を記入して、2室分6000pstを支払い、鍵を受け取る。案内された部屋は予想以上に良く、バス・トイレ付それにヒ-ターまでついている、今夜はゆっくり寝むれそうだと荷物を置いていると、係の男の人が部屋へ来て、部屋を代われと言う仕草、何事かと尋ねると、バスルームへ連れて行き、排水が悪いとジェスチャーで教えてくれた。ニッコリ笑って肯き、鍵を交換して隣の部屋へ移った。ホテルの親切なムードが分かる。
凄い蛇口から勢いよく湯が出た、早速入浴し、バスタブで下着や服の洗濯をした。気分良く、お先に失礼しました、ここはお湯がたっぷり出るよ、とIさんに声を掛け、部屋にロープをはり大量の洗濯物を干した。後から入ったIさんが、湯が出ないとバスルームで騒いでいる、そう言えば数日前のGUADIXのホテルでもこんな場面がありましたね。GUADIXのホテルでは、あれは湯ではない水だ、とぶつぶつ言ってバスルームから出て来て急いで服を着ていた。何故でしょう、湯の温度が問題なのでしょうか、それとも貯湯分を私が使ってしまうため、ボイラー内の水温が一時的下がり、湯ではないと感じる、その様な結果となるのでしょうか。しばらくして、私が洗面所の蛇口をひねると、ややぬるいが湯が出た、しかしIさんに言わせるとこれは湯ではない水だと、少し機嫌が悪い。
ひと休みして、一階のレストランへ出向く、メニューを見ても何が何だか分からないので、旅の案内書の食事のページと睨めっこしながら、お進め料理825Pst(1人前)を注文したら、出てきたのは、油身の多い肉がメインの料理でした。まあ、美味しかった。空腹は最大の美食ですね。H君もスペイン語を覚えてきましたので早速、セルベッサ(・・ビール)と注文、私はアクア()100Pst、うん、この国ではビールより水が高い場合もあります。音楽が大きなスピーカーからガンガンと流れ、隣のBARではドリンクと騒々しい会話が聞こえる、この時間はまだ夜の食事時間帯ではないらしい。
部屋へ帰り午後8時30分頃私は早々とベッドに入りこむ。3人がベッドの端に腰掛けて、今日の金の清算を始めた。誰から誰へいくら、小銭がないから借り、とか言っている。私は手もちのペスタは0円(今日一日)で、全額借りであるので気分がらく、知らないうちイメージ 1に寝入ってしまった。
例によって、隣の御仁のいびきで起きる、時計を見ると午前2時である。やれやれ、彼とは長年の付き合いだが、まだこの鼾には慣れていない、奥様は慣れてみえるのか、とぼんやり頭で思い巡らせる。気の優しい彼が、この耳栓をして寝てくれと、渡してくれた。そのスポンジの耳栓をした、慣れないので気にはなるが、確かにいびきの音は小さくなった。
 
 
耳栓をして寝たセテニールのペンションの部屋